Nils Johnson


    私の作品は、食べ物や儀礼的素材、生活に根ざした造形物といった文化的対象から出発し、それらの意 味がどのように変化し、断片化し、あるいは消失していくのかを探るものである。これらの対象を固定 された象徴としてではなく、文脈や反復、時間によって揺らぐ不安定な意味の担い手として捉えている 。

    文化を継承された象徴の体系として捉える解釈人類学的な視点に影響を受け、私の絵画における対象は 、意味を内包しながらも完全には読み解くことのできない「テクスト」として扱われる。私はそれらの 意味を保存するのではなく、むしろ歪みや分解のプロセスへと導く。形態は反復され、柔らぎ、再構成 されることで、次第に判別しきれない状態へと変化していく。そこに残るのは、認識可能でありながら も確定できない痕跡である。






    このような分解は、文化的知識の変容のあり方そのものとも重なっている。意味は突然失われるのでは なく、翻訳や移動、再利用といった過程の中で徐々に侵食されていく。対象は本来の文脈から切り離さ れ、新たな環境の中で単純化され、あるいは誤読される。

    私の作品は、そうした不完全な理解の状態に 留まり続ける。 視覚的な構造には、初期の画像認識技術に見られた、不安定で曖昧な形態生成のプロセスが影響してい る。私はその論理をデジタルではなく、絵画という物質的な手法に置き換えている。
    近作《EFFACEMENT》では、このプロセスを絵画の外へと拡張し、イメージの反復的な複製と変換によ って、最終的にノイズへと崩壊させている。そこに残るのは対象そのものではなく、その消失の過程で ある。 私の作品における分解とは、単なる喪失ではない。それは意味が再編成され続ける状態であり、より不 確かで、固定されず、名付けがたいものへと変化していく過程である。







Copyright ©2024 Nils Johnson, All rights reserved.